「旬の花を知る」
日本一の花市場、大田市場に集まる旬の花や最新品種をご紹介。知っていると花選びが楽しくなる、そんなお話です。
初冬の訪れを告げる、香りの花
第十話 「ストック」
Matthiola incana □分類: アブラナ科/アラセイトウ属 (マッティオラ属)
□英名:Stock(ストック) □和名:紫羅欄花(あらせいとう) □原産地:南ヨーロッパ
□英名:Stock(ストック) □和名:紫羅欄花(あらせいとう) □原産地:南ヨーロッパ
「アーリーアイアンマリン」
花言葉日本での花言葉「永遠の美」「愛情の絆」「求愛」
海外での花言葉「lasting beauty(永遠の美)」「happy life(愛情の絆)」「contented existence(満ち足りた暮らし)」
色別の花言葉 ピンク「豊かな愛情」、白「思いやり」「ひそやかな愛」、紫「おおらかな愛情」、黄色「さびしい恋」
「ホワイトカルテット」(スプレー咲き)
ストックのお手入れストックは花持ちが良い花ですが、ムレに弱く、水が濁りやすいです。
また、名前の由来に反して、花や葉は折れやすいので、丁寧に取り扱ってください。
生ける時は葉が水にふれないように、水に浸かる部分の葉は全て落します。水替えはなるべくこまめに、その都度少しづつ茎を切ってください。茶色く傷んだ花や葉はも取り除きましょう。しっかり水が揚がっていれば、先端のつぼみまで咲いて、より長く花が楽しめます。
「ディープローズカルテット」(スプレー咲き)
名前の由来「ストック」の名前は英語で〈Stock=幹、茎〉で、スキーのストックとも同じ意味であり、これは茎がまるで木の幹のようにしっかりとしている事に由来すると言われています。
和名の由来はポルトガル語で葉がラシャに似た毛織物「raxeta(ラセイタ)」 に似ていることから、「葉ラセイタ」→「アラセイタ」→「アラセイトウ」と変化し、「紫羅欄花(あらせいとう)」、となったとされています。
「朝波」
ストックの歴史日本には江戸時代初期に渡来したとされ、大正時代には切り花用として栽培されていたストックですが、ヨーロッパでは古代ギリシャ、ローマ時代から薬草として栽培されていた、長い歴史を持つ花です。
「イエロースパーク」(スプレー咲き)
エディブルフラワー現在では薬用として使用されることはありませんが、ストックはブロッコリーやカリフラワーと同じアブラナ科なので、最近ではエディブルフラワー(食用花)としても栽培されています。
味はクセが少なく、大根やラディッシュに近いと言われます。
「チェリーカルテット」(スプレー咲き)
香りストックの香りはカーネーションの香りと似ていて、クローブ(丁子)のスパイシーな香りとほのかに甘いパウダリーな香りが合わさった「オイゲノール」と呼ばれる、強い芳香が特徴。
この「オイゲノール」はほどんどの香水に含まれる香りの要素とされ、ストックの香りはこの成分が50%近くも含まれていることが分かっています。
切花品種の場合、スプレータイプ(枝分かれしたもの)より、スタンダードタイプの方が香りが強く、一重咲きよりも八重咲きの方が香りが強い傾向にあります。
「アイアンホワイト」
一重咲き・八重咲きストックには「一重咲き」と花びらの数が多い「八重咲き」がありますが、基本的に八重咲きには種ができません。これは、雄しべ、雌しべの両方が花弁しているためです。
ではなぜ八重咲き品種が存在するのかと言うと、一重咲きの種を蒔くと、約半分(品種によってはそれ以上)が八重咲きとなり、それを選別しているからなのです。
この見分け方は幼苗(ようびょう)時に生育の違いで見分けますが、はっきりとした違いがないため、熟練を要します。
「ピーチカルテット」(スプレー咲き)
ストックを贈るストックは丈の長さや花のボリュームの良さから、スタンド花などの大型のアレンジメントやお供えの花などに使われることが多い花です。
しかし、素晴らしい香りがするストックはギフトにもぴったり。
他の花と組みあわせるよりも、1色だけのストックをたっぷりと束ねると、この時期ならではの洗練されたブーケになります。
取材協力:株式会社 大田花き、庄内花き生産組合連絡協議会